あなたは今もライダーですか。

少し古いホンダのCMで流れているキャッチコピーだ。
気がつけば、オートバイのCMを見なくなって久しい。
僕は16才の夏、普通自動二輪免許を取った。
いわゆる中免というやつだ。
授業がハネたらバイトに精を出し、その金を持って教習所へ通い、400cc空冷4気筒のカワサキを買った。
それから歳月が過ぎ僕も36才になった。
免許を取って20年という数字になんだか驚くのは、自分がまだ20代くらいの気持ち(精神年齢)でいるからだろうか。
16才だったあの頃から、20年も経ってしまったということに驚く。
時間の経過とオートバイの乗車時間は見事に反比例している。
あの頃、オートバイというものへの憧れと、経済的な諦観がないまぜの気持ちで、中古バイクの情報誌を眺めていた。
焦がれるような気持ちでオートバイのことを、考えていた日々。
今でもオートバイについて毎日考える。
あの時も今も、「バイクに乗りたい」と、同じように思い続けている。
「バイクに乗りたい」
文字にしてしまえば一字一句同じだが、あの頃と今では、温度や質感が違うのはなぜだろう。
キリンや東本昌平先生が聞いたなら、「環境を言い訳にするな」とでも言われてしまいそうである。
「中型」と小さく書かれた免許証を手に入れてから20年。
後に「大型」も取得してから、その時々で跨る相棒を変えてきた。
ベンリィ50からはじまりゼファー400、SR400、CBR250R(mc19)、NSR250R-SE(mc21)、W1、スーパーカブ数台etc...。
どれもポンコツだったけれど、どれも楽しかった。
所有して一番長いのはW1SAで、もう乗って10年以上になる。
「飽きないのか?」と訊かれれば、そうともそうでないとも返事ができる。
そもそも、オートバイそのものに飽きることがないのだ。
大型に乗っていてもスーパーカブに乗っていても、「オートバイは楽しい」と、毎回感じる。
バイク歴でいったら世の中には大先輩がたくさんいる。
だから、たかが20年そこらで偉そうにするつもりはない。
一年のうち、ほんの少ししかオートバイに乗れなかったとしても、心はライダーのままでいたい。
湯船に浸かりながらオートバイに乗っている気分を思い出したりする。
本屋に行っては旧車雑誌を買ってきて、相場に文句を言いながら読む。
仕事からの帰り途、2月だというのに春のような風が吹いていた。
こんな風に触れると「今、オートバイに乗れたならどんなに気持ちがいいだろうか」と考える。
それは「もったいない」というような感情にも似ている。
この20年のあいだで、日本の夏と冬は長くなり、快適に乗れる時間は本当に少ないということを知った。
だからこそそんな風に思うのだろう。
「あなたは今もライダーですか。」