ドリームの夢を見る-欲しいオートバイ

「もう一台だけ好きなのに乗っていいよって言われたら、何に乗りたい? お金のことは考えなくていいとして」

就寝前、妻と炭酸水を飲んでいると、そう訊かれた。

妻が酒を飲まなくなってずいぶん経つ。僕は元から飲めない。

「そうだなあ」といいながら、アレコレと考えた。

妻は全くオートバイに興味がない。というとちょっと違うのだが、詳しくはない。

うまく言えないけれどとてもありがたい。

以下、僕が考えたこと。

1台目:ドリームCB750Four(ホンダ)

これには一度乗ってみたい。

眺めてよし、走ってよし(W1と違い高速道路を走れそう)、生い立ちもクール、という感じがする。

ゲームチェンジャーだよねえCBは。登場した時は期待、羨望、脅威なんて、様々なものをぶつけられてもそれを上回る存在だったんじゃないかな。

同時代の乗り物であっても、ホンダの方が品質は良さそうな気もする。

旧車だからアチコチいかれてるのは承知の助であるけれど、仕組みの部分なんかではガチャガチャ騒がしいW1なんかより絶対良いはず。

いや、変わんないか。どれもぶっ壊れてるしぶっ壊れるんだよね。

K0ましてや砂型なんて高尚なこだわりはないし、乗るならK4以降が良いような。

後期に分類される「こいのぼりライン」のタンクが好きなデザイン。

色は深緑かオレンジかなぁ。

マフラーは4本が独立している純正タイプ。

アイドリングや低回転ではプルブル唸ってるのに、高回転でマルチらしい咆哮が聴ける。

別々に騒いでいた奴らが合流して一箇所で歌い始めた、みたいな?

なんだか音色が変わるって言うのは一粒で二度美味しい感じがしませんかね。

無番マフラーなるものが豪快な音らしく、いつぞやの集まりで聴いたことがある。

確かに持ち主から自慢されるだけあって格好がよかった。

ただもうマフラーだって高いよねえ。闇矢屋で復刻が作られてるっていうから、コッチかなぁ。

妄想は止まらんね。お金もないのに。

2台目:CB450(ホンダ)

ヨンゴーも気になる一台。

クジラタンクもいいけど、個人的にはK1が好み。三好礼子的。

デザインだけでいったら、なかなか難易度が高いよね。

首にタオルをぶら下げたオッチャンが乗ったら、商用モデルに見えちゃうだろうし。

黒革の上下にお椀ヘルメット、単眼のゴーグルの姿で乗ればこれほどカッコいいマシンはない気がする。

そして、その格好が似合うためには本人がスマートでないといけないな。

そのように逆算していくと、どうも乗れないような気がするのである。

CB450はW1と同じ2気筒のエンジンだけれども、全く違う乗り物なんだろうなぁ。

ツインカム、高回転、小排気量でハイパワー。

その後のホンダを象徴するようなメカニズムであり、メーカーとして今なおこのキャラクターのイメージが強い。

3台目:CB77(ホンダ)

これはもう浮谷東次郎の影響である。

彼が海を渡り、当時は今よりずっと遠くにあった「米国」に行き、乗り回していたのがナナナナ。

旅の途中の苦労話や、このCB77で見た・感じたことが彼の視点でみずみずしく綴られている。

私の父の世代(70代後半)の憧れマシンだったCB72。

父にCB77の話を聞くと305ccの方は「CP77」って呼ばれてた気がするなァ、と毎回言った。

僕は当時モノの雑誌をひっくり返し「ホラ、CP77は警察用のモデルだヨ」と返す。

でも実際のところ私の調べていることが間違っていないのかも確信が持てない。

もとより、CBについてはあまり明るくなくて。

でも、「CB」にはやはり特別な響きがあるように思う。

モーターサイクルの王道、一番の大通りを走っているマシンというイメージがある。

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